ゲリラ豪雨や夕立など突然の雨に見舞われるケースが増えてきています。
そこで、ずぶ濡れまではいかなくても雨や傘から落ちる滴などで、衣服がシミになることがあります。
今回は食べ物によるシミではなく、水によるシミを紹介します。
水シミ=ウォータースポット現象
「ウォータースポット」という言葉を聞いたことがありますか?業界では水分によってシミになる現象を「ウォータースポット現象」と呼んでいます。この現象は、衣服に限らず、様々なシーンで似たような現象が見られます。
例えば、雨の後乾いた車のボンネットや窓に出来た「水あか」。雨の後にお手入れをしないまま放置した革靴に出来るシミなど。。発生に伴う細かいメカニズムは違いますが、素材によっては、水からの影響を大きく受けてしまうという点では一緒です。
では、衣服が受ける水分によるシミについて見ていきましょう。
水シミの発生し易い素材
まずは基本的に、使用されている繊維により水シミの発生し易さは判断できます。
そこで繊維は、様々な種類がありますが特に水に弱い繊維として挙げられるのが「絹」と「レーヨン」です。また「レーヨン」は意外に多くの製品に使用されていますので要注意です。
例えば、女性モノであれば、デザイン上一部光沢を持たせる為に夏服のブラウスなど、汗の付きやすい製品にも混紡(他の繊維と混ぜて)して使用されていたりします。また、ニットやカーディガンなどにも使用されていたりします。
一方、男性モノであれば、スラックスやスーツの表地や裏地などでもよく使用されています。
そして最近では、布地の風合を重視する為、仕上げ加工剤が多様されている場合が増えています。すると、仕上げ加工剤が水の影響を受け、水シミを発生し易くしているケースもあります。
水シミになるメカニズム
繊維・糸・毛羽の形態変化による水シミ
レーヨンは水を吸い易く、水により膨張・収縮し易い繊維です。つまり変化し易い繊維です。
そして、水分から受けた変化により、繊維表面の光から受ける反射の仕方が変わり、水に濡れた部分が乾いた後もシミになったように見えることがあります。これが、一つ目の原因です。
ポイント:糸そのものの色が変わった訳ではなく、繊維・糸・毛羽の形が変化したことで光の反射の仕方が変わって、色が違うように見える現象です。
染料・加工剤が溶けることによる水シミ
水溶性の染料や加工剤を加工してある製品は、水に濡れると染料や加工剤が繊維表面から浮き上がり移動し易くなります。そして乾燥するにつれ、濡れない部分と濡れた部分の境目近くに凝縮され、輪ジミや色ジミを残します。これが二つ目の原因です。更にこのシミは厄介なことに、乾燥して時間が経つと、浮き出した染料や加工剤が繊維にくっついてしまい、高度な修正技術が必要になってきます。
ポイント:水溶性の絵具に水を垂らすと滲(にじ)むように、生地の染料や加工剤が浮き上がり、それらが他の箇所に移動します。そして、乾燥と同時にその部分で固まってしまいシミとし変化が表面化している現象です。
ウォータースポットの防止対策
最重要ポイントとして、汗や雨によって生じた輪ジミを放置しておかないことです!
品物によっては染料や加工剤が溶けて繊維に強く吸着したり、汚れによって変色が生じ、修正出来なくなることがあるので、速やかにクリーニング店へ持って行くことをお薦めします。
その他の防止対策
参考:はっ水加工について